きれいにしてくれてありがとう

会社にきてくれる、お掃除のおばちゃん。

まだ朝早いうちから来ては、社員が入ってくる前に掃除を完了させるため、ほとんど
その働きぶりを見ることはなく、キレイになっているところから、あぁ今朝も掃除してくれて
いるわ、と思う程度でした。　

あたり前で、そんな事すら感じなくなっていた時、いつものようにトイレに入ろうとしたら、
壁からドアから丁寧に拭きあげている、まだ清掃中のおばちゃんがいた。

邪魔してはいけないと思いつつ、私も使いたかったので、
「ごめんなさい。使ってもいいですか？」　と、いちおう断りを入れて使わせてもらった。

ふと、いつもこんなに一所懸命にやってくれているんだ。キレイにしてくれる人がいる一方、
ただ使うだけの私。なんだか申し訳ないなぁ　と思いながら出てくると・・・

「嬉しいねぇ」　と、ぞうきんを手にしたままおばちゃんが言った。

ほどんどの人は、断りもなく黙って使って、何も無かったように出て行ってしまうらしい。
そこを一言、言ったことがとても嬉しかった、との事。
私が拭いた後のトイレはキレイでしょ～。と、おばちゃんは笑いながら、さも嬉しそう。

「いつもきれいにしてくれてありがとう」　と、ふだん言えなかったことが言えて、
そのあとの一日は、ずっと気持ちよく過ごせました。